吉井北小学校コンサート


 11月16日 日曜日 晴れ


 わかりやすいように先にこの日の行事の日程を書いておこう。
●行事名 北小祭(秋の収穫祭)
●午前 学芸会
●その後 餅つきと昼食
●午後 創立50周年記念行事「かちがらすコンサート」
※かちがらすのこの日のメンバー リーダー・用務員・評論家・それに僕の4人。

 吉井北小学校は児童数120人余りの小さな小学校である。僕らが堤さんの車でそこに着いたのは、11時30分頃だった。体育館では午前中の行事・学芸会が行われていた。
学芸会の後、子どもたちは校庭に移動して、お父さんお母さんたちと一緒に餅つきをすることになっているのだという。
予定で行けば、僕らのコンサートは餅つきと昼食の終わる2時頃からになるらしい。
 僕らが待期室に案内されて荷物を下ろすと、間もなく熱いお茶と弁当と餅とこれまた熱々の薩摩汁が運ばれてきた。
いきなり豪華なおもてなしである。かちがらすが食いしん坊であることを吉井の方々もご存知なのだろうか。まさか、そんなはずないよね!
餅は、子どもたちが自分たちで育てた米で作ったのだという。また、「これもそうなんですよ」と大きなドンブリに薩摩汁を注ぎながら、お母さんはおっしゃる。
そう聞いて食べる餅や薩摩汁は、格別に美味しい。やはり料理というのは気持ちでいただくものなんだなあとつくづく思ってしまう。
 12時30分頃、PAの準備ができたというので、僕らは体育館に移動してリハーサルに入った。
今回もPAは沖津さんにお願いしてある。沖津さんには20周年コンサートの頃からずっと専属のようにしてかちがらすの音響を担当してもらっているので、僕らとしても安心して任せていられる。
それに、モニターの音量やバランス、楽器のイコライジングなど、こちらから細かく注文も出しやすい。
音は、実際に演奏しながら作っていくのだが、最初は体育館内にワーンと反響してものすごく自分たちの出す音が聴きにくい。それをモニターで調整しながら聴きやすい音、演奏しやすい音に変えていくのである。そうして「これでOK!」という状態になるまでには、少なくとも2・30分くらいはかかってしまう。
今回は音合わせに1時間余り時間をもらえたので、音響的には万全の状態で本番に入ることができた。
 いつものように堤さんから僕等の紹介があって、コンサートは開演した。
 1曲目「ひとつぶの涙」2曲目「ふるさとが好きだから」を続けて演奏する。この2曲はアップテンポなので、緊張をほぐす目的でオープニングに使っているお決まりのパターンである。ここで手拍子なんかをもらって、お客さんも僕らもお互いに緊張がすうっと解けるという狙い。
ところが、今日は手拍子が来ない。
「おやっ、どうしたのかな?」僕は思いながら3曲目の「昔僕らは海にいた」を歌った。まだ会場は静かである。
みんな知らない歌に対してはきっと反応のしようがないのだろう。
案の定、4曲目の「大きな古時計」と5曲目の「さんぽ」の時はこちらが圧倒されるくらいに子どもたちは大きな声で一緒に歌ってくれた。
そればかりか、「ねえ、森のくまさんを歌って!」などとリクエストまで飛んでくる有様。
 後で聞いた話なのだが、その時、後ろの方では先生方やお母さん方は冷や冷やしていたらしい。
「子どもたちって何を言い出すかわからないでしょ!皆さんに失礼なことを言ったりするのではないかと・・・。」
こっちとしては、そういうリアクションがあった方が嬉しいのに。
その後はお互い緊張も解けて、手拍子したり、一緒に歌ったりしながら楽しい雰囲気で時間は流れて行った。
10曲目の「傷ついた心の君へ」を歌い終わって、リーダーが「さあ残り2曲になってしまいました」と言った時、子どもたちの間から「ええ〜!」と不服そうな声が上がった。
「あの時は嬉しかったなあ!」と終わった後で、リーダーは、彼にしては珍しく感動を口に出していた。
11曲目は「なぜどうして」、そして、エンディングは「世界に一つだけの花」である。
「世界に一つだけの花」はさすがにみんな大好きな歌らしい。会場は大合唱となった。
「子どもたちの歌声って、どうしてこんなに曇りがないんだろう?」僕はこの歌を一緒に歌いながら、歌詞の意味を噛み締めていた。
「ナンバーワンにならなくてもいい 元々特別なオンリーワン」
本当にそのとおりだと思う。子どもたちにはみんな自分の個性で輝いてほしい。
その後、アンコールで「翼をください」を全員で歌ってこの日のコンサートは終演した。
 「実はですね、私たちも先生方も、低学年の子どもたちがちゃんと席に座って聴いてくれるかとても心配だったんですよ。でも最後まで、誰一人として立ち上がる子はいませんでした。みんなすごく楽しそうでしたよ。」
どこかで聞いたような感想だなあと思いながら、僕はそのお母さんの言葉を嬉しく聴いた。
 コンサート終了後、子どもたちが声をそろえて「ありがとうございました!」と僕らにお礼を言ってくれた。そして、その中の数人が僕ら一人一人に、自分たちで作ったのだろう、かわいいクマさんのマスコットをプレゼントしてくれた。
 いえいえ、どういたしまして!
こちらこそすっごく楽しかったです。
吉井北小学校のみんな、どうもありがとう!


 これは吉井北小学校の子どもたちが書いてくれました。右側に縦書きで2行に渡り「かちがらすコンサート」の文字が書かれており、看板全体に数匹カラスの絵が描かれています。
写真は上のリンクをクリックすると見ることができます。

【備考】コンサートでのメンバーの様子
●川内(リーダー) ギター・マンドリン・MC担当。
 コンサート前、一番緊張していたのはリーダーかもしれない。何だか落ち着かない様子で、リハーサルの前にため息をつきながら栄養ドリンクを飲んでいたそうである(評論家の話し)。
おそらく「コンサートでは何を話そうか?」「どういう風に組み立てて行こうか?」と思案していたのに違いない。
気持ちがMCに集中していたわりには、ギター・マンドリンのミスはそんなに多くなかったように思う。

●武原(用務員) ボーカル・ハーモニカ・カズー担当。
今回のコンサートで用務員は5曲ボーカルを取った。1ステージで5曲も歌うというのは用務員にしてみれば珍しいことである。
そして何と言ってもカズーがまたここでも大受けだった。
「さんぽ」と「ピクニックに行こう」の前奏・間奏で用務員がカズーを吹き始めると、子どもたちは歓声を上げて喜んだ。

●横田(評論家) ギター・波音担当
 評論家もこの日は大活躍だった。「夢」では、ソロでギターを弾いたし、「昔僕らは海にいた」では、D45という大豆の入った箱を揺すって、効果的に波音を入れてくれた。
※このD45というのは、名器のギターの名前に引っ掛けて僕らがそのように呼んでいる、大豆の入った箱の俗称である。

●幸松 風紀係) ボーカル・ギター担当。
この日のライブで一番ミスが多かったのはおそらくこの僕だろう。
吉井町をイメージして作った「ひまわり咲くふるさと」のリードギターはとちるし、「餅米を噛み続けても餅にならない理由」を話してもちっとも受けないし。一人でメンバーの足を引っ張ったような気がしてならない。
特に、「ひまわり咲くふるさと」は、今回のコンサートの目玉だったのに。
2003年11月19日



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