菫ヶ丘幼児園コンサート


7月13日 日曜日 一日中小雨


 「今回の育児講座は、日曜日だし自由参加ってことになっているので、もしかしたらお客さんは少ないかもしれません。そのばあいは、ごめんなさいね!」
そんな山口さんの心配に反して、会場の日宇公民館には、雨にも関わらず、園児と父兄さん、それに近所のおじさん・おばさん方まで、たくさんの人たちが集まってくれた。
 僕らが会場に入ったのは9時前。すでに数人のスタッフによって、会場内の椅子並べや舞台のセッティングなど、慌しく準備がなされていた。
 コンサートは開場が10時半で、開演が11時になっている。僕らがリハーサルできるのは、開場時間までの90分間。その時間からPAのセッティングの時間を差し引くと、う〜ん、スケジュール的にかなり厳しい。
 日宇公民館には控え室がないというので、僕らは会場の隅っこを陣取り、そこに自分たちの手荷物を降ろし、雑談をする余裕もなくギターのチューニングにとりかかった。
 こういう場合の時間というのは、容赦なく過ぎていくもので、リハーサル以前の段階でのチューニング、声出し、コードの打ち合わせなどをしていると、あっという間に4・50分は経ってしまう。リハーサルの準備が整って、僕らがマイクの前に立った時、すでに時間は10時になろうとしていた。
 リハーサルは先生方と一緒に演奏する分を優先して、残りの10分余りで自分たちの分を行なった。

 いよいよ本番。山口さんから僕らの紹介があり、それを受けてリーダーがあいさつとカブト虫のフィギアをつかって、1曲目の紹介をした。
1曲目はオリジナル曲の「約束」である。この歌は僕のギターと歌のソロで始まる。

 この子らが夢を見つづけられるように 僕らは何をして挙げられるだろうか
 この子らの楽しみ絶やしてしまわないように 僕らは何をしてあげられるだろうか

このさびのフレーズがうまく歌えるかどうかで僕は今日の調子を占う。
「なかなかいい!声も出ている!よし、今日は行けるぞ〜!」
 2曲目は、やはりオリジナル曲で「ピクニックに行こう」。ここで僕は一つ試してみることにした。
ギターをカッティングしながらそれに合わせて子どもたちに手拍子をしてもらう。手拍子がそろったところで、そのままの乗りでイントロに入る。
例え知らない曲であっても、体でリズムをとることによって、音楽というものは楽しめるものなのだ。
「子どもたちをこのリズムのブランコに乗せてしまおう!」
これもうまく行った。けっこういい雰囲気だ。
 次は「お魚天国」「大きな古時計」。
この辺りに鳴ると、もう歌ってと言わなくても子どもたちは勝手に歌ってくれる。
 こうやってコンサートは楽しく進んで行った。
 途中菫ヶ丘幼児園の先生にマイクを預け、音頭をとってもらいながら「コブタヌキツネコ」と「大きな栗の木の下で」の手遊びをしたり、「君を乗せて」や「散歩」を一緒に演奏しながら歌った。サックス、クラリネット、キーボード、3名のコーラス隊が加わると、なかなかパワフルで楽しい演奏になる。僕は幼児縁の先生にでもなったような気分でこの共演を楽しんだ。
 また、ジョージは得意の動物ものまねでコンサートを盛り上げてくれた。
「今から僕が動物の鳴き声をまねするので、みんなで何の動物か当ててね。」
こういうのも子どもたちは大好きらしい。すぐにあっちこっちから答えが返ってくる。
「カエル!」
「正解!」
 楽しい時間というのは短く感じるものである。
後半の最大の難関(子どもたちにとっての)と予想していた、オリジナル曲「傷ついた心の君へ」「なぜどうして」この2曲も無事にクリアして、ついにエンディングを迎えた。
エンディング曲は「世界に一つだけの花」である。この歌は今では知らない人はいないだろうというくらい有名な歌なので、みんな手拍子しながら歌ってくれて、開場は全員での大合唱となった。

 14曲、時間にして70分。よく子どもたちはついてきてくれたと思う。最後まで、席を立って走り回る子はほとんどいなかった。
演奏が終わった後、数人の園児が舞台に上がってきて、手作りのメダルを僕ら一人一人の首にかけてくれた。そして手作りの花束も手渡してくれた。
なんともかわいい心のこもったプレゼントである。
 こうやってかちがらすの菫ヶ丘幼児園コンサートは幕を降ろしたのだった。

 コンサートが終わって陣地に引き上げてから、僕はメンバーに演奏の出来を尋ねてみた。
「コードをたくさん間違えたよ!」とリーダー。
「カポを違うフレットに付けてピクニックを弾いてしまった!」と評論家。
「ハーモニカのフレーズを間違えた!」と用務員。
この手の間違いは毎度のことなので、僕は彼らを責めたりはしない。
ただ、やはり久しぶりのライブと言うことで、みんな緊張していたのだろう。ギターのミスがいつもより頻繁だったように思う。
「でも大丈夫だよ、その分僕がちゃんと弾いておいたから!」

 最後に今回もPAをやってくれた沖津さん、仕事なのにわざわざ休みを取って手伝いに来てくれた戸部さん、それに楽しい時間を僕らに提供してくださった菫ヶ丘幼児縁の先生方、本当にどうもありがとうございました。

2003年7月16日


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