佐里小コンサート



2002年12月15日 晴れ


 佐里小学校は、佐賀県の東松浦郡邑智町にある生徒数30人ほどの小さな小学校である。
 僕らがここでコンサートするのは今年で4回目。毎年12月に駅伝・餅つき大会後のアトラクションとして学校行事に組み込んでもらっている。
しかしそれも今回が最後。この学校は年々生徒の数が減少してきたために、今年度限りで廃校になり、来年は隣町の大きな小学校と合併することが決まっているそうだから。
 「なんだか淋しいですねえ!子どもたちと地域との交わりが絶たれてしまうようで」
朝僕らを迎えに来てくださったお父さんはワゴン車のハンドルを切りながらそうおっしゃっていた。それだけこの町のお父さんお母さんたちは、積極的に学校行事にも参加して、地域の子どもたちに対し、我が子のように接してこられたのだろう。その言葉を聞いて、田舎ならではの何かとても暖かい人情みたいなものを感じた。
 午前中、駅伝大会が行われている間、僕らは体育館でPAを使っての軽い音合わせをして、その後運動場での餅つきに参加させてもらった。
一緒に餅をつくのは今年で2回目になる。
きっと最初「見えなくて大丈夫だろうか?」と僕らは周りから不安の眼差しを注がれていたに違いない。しかし、杵を振り下ろすタイミングと、その場所さえわかれば、餅つき自体は例え目が見えなくてもそう難しい作業ではない。
昨年の僕らの様子を見てそのことが理解してもらえたのだろう、 今年は「かちがらすのメンバーにも一緒に持ちをついてもらう」と最初から予定表に書き込まれているようだった。
「さり」・「しょう」 「さり」・「しょう」、周りの人たちが一緒に唱和してくれる2拍子のお囃子に合わせて僕らは杵を振った。そしてその場でつきたての餅を片っ端からご馳走になった。
 コンサートは子どもたちも楽しみにしてくれていたようで、とても楽しく和やかな雰囲気で進めて行くことができた。今回一緒に歌おうと用意していた歌、たとえば「野に咲く花のように」「大きな古時計」「お魚天国」などはもちろん、知っているはずのない僕らのオリジナル曲まで歌詞を見ながら一緒に口ずさんでくれていたのには正直驚いた。
「子どもというのはすごかあ!」「初めて聴くような歌でもああやって歌えるっちゃけんねえ!」
 思い返してみると、1年目のコンサートはとても静かだった。「さんぽ」とか「だんご三兄弟」とか、当然みんなが知っているはずの歌を「一緒に歌おう!」とこちらが呼びかけてもほとんど反応がなかったように記憶している。子どもたちには初めてのコンサートで、恥ずかしかったこともあるだろう。しかしそれ以上に彼らの目には僕らが特別な人種(宇宙人でもあるか)のように写っていたのかもしれない。そう思われてもしょうがないよ、実際にメンバーの中には変わったやつがいるのだから。「おい、それはちょっと意味が違うぞ!」
コンサートの後で送られてきた感想文には、ほとんど例外なく「目が不自由なのに楽器が弾けるなんてすごいなあと思いました」という驚きの感想ばかりが書かれていた。
でもコンサートの回数を重ねて行くうちに子どもたちも僕らに慣れ、大きな声で一緒に歌ってくれるようになって、「とても楽しかったです、また来年もぜひ来てください」というような嬉しい感想が増えてきた。
子どもたちに障害者に対する接し方なんてのを言葉で教え込もうとすると、それはすごく回り道になってしまう。「百聞は一見にしかず」で、実際に触れ合って体験してもらうのが1番の近道だと僕は思っている。
 70分間のかちがらすコンサートは例によって「翼をください」の大合唱で幕を閉じた(実際は幕なんてなかったけど)。
 その後で、佐里小学校の生徒と先生方全員から、お礼にと言って、とてもステキな歌をプレゼントしてもらった。残念なことにその歌の曲名は忘れてしまったけど、本当に素晴らしく心に響く歌声だった。

 佐里小学校のみんな、どうもありがとう!そして川崎教頭先生をはじめ、PTAの方々、たいへんお世話になりました。

記念写真

上はコンサート終了後にみんなで撮った写真です



ありがとう佐里小学校


詞/曲 幸松成実


緑に囲まれた 静かな田舎町
少し坂を登った 小さな小学校
元気な子どもたちの 明るい笑い声が 
木枯らしの中 校庭に響いてた
たとえ校舎は 無くなってしまっても
みんなの笑顔を 僕たちは忘れない
駅伝 餅つき そして一緒に歌った
楽しい思い出を ありがとう 佐里小学校

年に一度の ふれあいだったけど
いつも暖かく 迎えてくれた小学校
この町の子どもたちが 明るく健やかに
育って行くことを 誰もが願ってる
たとえ校舎は 無くなってしまっても
みんなの笑顔を 僕たちは忘れない
駅伝 餅つき そして一緒に歌った
楽しい思い出を ありがとう 佐里小学校

たとえ校舎は 無くなってしまっても
みんなの笑顔を 僕たちは忘れない
駅伝 餅つき そして一緒に歌った
楽しい思い出を ありがとう 佐里小学校


日誌のページに戻る