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長崎研修旅行 1日目(前編) 今回の僕らの長崎行きの目的は、ワインバー田舎に梅沢武秋さんを訪ね、秋に予定している「かちがらす結成25周年コンサート」への出演を正式にお願いすることと、大まかな打ち合わせをして、演奏する曲目を決めてくることである。 運よく、楠林さんも時間が取れて、一緒に長崎へ同行してもらえることになっている。 ●1日目(8月20日) まず伊万里駅で楠林さん、評論家、僕の3人が合流する。 それから楠林さんの車で佐世保に回り、リーダーを拾って長崎に向かう。 そして、高速バスで先に長崎インしている用務員とビジネスホテルで落ち合う。 ホテルはすでに予約してあるので、チェックインを済ませてからみんなで食事に出る。夕食はできれば中華街でというのがみんなの希望。 そのあと梅さんがマスターをしているワインバー「田舎」に客として行って、みんなでワインを飲みながらイベントの打ち合わせをする。 ●2日目(8月21日) 予約しているホテルから山王神社、原爆資料館、平和公園などが近いらしいので、チェックアウトしてからみんなで一緒にそれらを観光して回る。そして平和について考える。 とても大雑把ではあるが、これが、今回僕らが立てた長崎への研修旅行の計画である。 8月20日 土曜日 雨 天気はあいにくの雨。午前中から断続的に激しく降って、僕は仕事をしながら「今日の長崎行きははたして大丈夫だろうか」と何度も不安になった。 しかし、待ち合わせ時間の4時に僕が伊万里駅に着いた時には、雨は傘がほとんど必要ないくらい小降りになっていた。 バスセンターへ評論家を迎えに行って再び駅に戻ってくると、もうすでに楠林さんは到着していて、僕らを乗せるために車内を片づけているところらしかった。僕らは再会のあいさつもそこそこに、楠林さんの愛車・ブルーバードに乗り込んだ。 そして4時10分、楠林さんの運転するブルーバードは佐世保に向かって出発した。 リーダーには、「そちらに着くのは5時頃になるだろう」と言ってある。 途中、評論化がおにぎりを食べたいと言うのでコンビニに寄ったりはしたものの、ほぼ予定通りの時間、5時20分頃にリーダー宅に到着した。 これで4人は合流できた。もう一人のメンバー・用務員だが、一足先に高速バスで長崎に行っているはずである。彼が立てていたスケジュールによると、もうそろそろホテルに着いている頃だ。 佐世保から長崎まで、車だと高速を飛ばしても1時間半くらいはかかるという。その間、用務員は一人ホテルでどういう風にして時間を過ごすのだろう? そんな思いが、ちょっぴり頭を過ぎったりもしたが、これは用務員が自ら望んだことだから、彼が持て余すであろう時間のことなど考えないようにして僕はドライブと団欒を思いっきり楽しむことにした。 車は大塔から高速に乗り、嬉野、大村、諫早へと走って行く。その間僕らは、最近読んだ本の話とか、今夜泊まることになっているホテルの話とか、10数年前に長崎に聴きにいったチャリティーコンサートの話とか、そんな他愛のない話題で盛り上がった。 高速を降りて長崎市内に入ったのは、7時頃だったと思う。雨は高速を走っている時よりも幾分小降りにはなっているものの、相変わらず音を立てて降り続けていた。 「長崎という所はね、雨が降っていても観光客は誰も文句を言わないんだって。」 リーダーがそう教えてくれた。 「確かに!」 有名なあの歌が「長崎は雨が降る町」という印象を大衆の記憶に植え付けてしまっているのだろう。だから例え雨が降っていても、かえって情緒的にさえ思えるのかもしれない。現にこの時の僕も車窓に映っているであろう雨の長崎の風景を想像しながら、小声であの歌のあのフレーズを口ずさんでいた。 長崎の町は、市街地を路面電車が走っている。したがって、電停名が場所を探す際の一番の目印となる。予めインターネットで入手していた道路マップを見ながら、人にも尋ねたりして、僕らが予約しているカンタービレというビジネスホテルに辿り着いたのは、予定よりも若干遅れた7時40分頃だった。 車を1階の駐車場に入れて、エレベーターで2階に上がる。そこがこのホテルのフロントになっているらしく、僕らが入って行くと、女性の係の人が愛想良く迎えてくれた。 「用務員さんは先にチェックインされてお部屋の方でお待ちです。皆様がお着きになったら連絡をしてくださいとおっしゃってました。」 僕らは思わず胸を撫で下ろした。 「あいつのことだから、もしかしたら僕らが来るまでチェックインできずにロビーで2時間じっと座って待っているかもしれないよ。不審な人物と見間違えられなければいいけど。」 そう言って車の中でみんなで心配していたのだ。 今回はシングルを5部屋予約している。チェックインの手続きを済ませた僕らは、フロントの女性にお願いして用務員の部屋に電話を入れてもらい、エレベーターに乗って用務員の待つ階へと上がった。 こうやって、7時50分、今回のメンバー全員無事にそろうことができたのである。 それぞれの部屋に荷物を置いて、非常口を確認して、「さあてこれから夕食を・・・」となったが、一番の候補地である中華街の「新地」はほとんどの店が夜の8時でオーダーストップしてしまう(前回の旅行記参照)。 もうどう足掻いてもその時間には間に合わない。 ここからは楠林さんの車はホテルの駐車場に預け、タクシーで移動することにしていたので、とりあえず2台、フロントにお願いして呼んでもらい、地元のスポットに精通しているタクシーの運転手さんに尋ねてみることにした。 「この時間でも営業している美味しいチャンポン屋さん」 その条件で連れて行ってもらったのは、ホテルからかなり離れた所にある「王鶴」という中華料理店。 店内に入って行くと、店のおばさんが「こちらへどうぞ」と言って、2回の畳の席に案内してくれた。 テーブルは大小2段の円卓になっていて、上の小さい方がくるくると回転する。何種類もの料理を小皿に分け合って食べる中華料理では、こういうターンテーブルが便利なのだろう。僕らはおばさんが並べてくれた座布団に腰を下ろして、みんなでその丸いテーブルを囲んだ。 この店は中華料理の店ということでいろんな料理があるらしい。、でも僕らは自分で自由に料理を取り分けることができない。だから取ったりしなくてもいいように、最初から一人分ずつになっている、特製チャンポンか特製皿うどんをそれぞれ好みでオーダーすることにした。 それからビールを頼んで、数ヵ月ぶりの再会と長崎の夜にみんなで乾杯した。 今回の旅行の楽しみの一つは、楠林さんと一緒に酒が飲めることにある。いつもはコンサートが終わるとバタバタと解散してしまうので、なかなかみんなでゆっくりと食事をしたり酒を飲んだりする機会がない。増して楠林さんは車だから一緒に泊まったりしない限り飲む機会なんてほとんどないのだ。 仲間同士で時間など気にせずに、酒を飲みながらゆっくり寛げるってなんて有意義な時間なんだろう。僕らは店のおばさんを交えて楽しく話しをしながら本場長崎のチャンポンと皿うどんを堪能した。 これは後でリーダーと話したことなのだが、あんな風にずっとおばさんが僕らのテーブルについていてくれるのなら、お願いすれば料理を小皿に分けてもらえたかもしれない。そしたら春巻きとか八宝菜とか、エビチリとか、チャーハンとか、いろんな中華料理を味わうこともできただろう。評論家も満腹状態でワインや焼酎が飲めて、翌日あんな悲惨なことには・・・。まあ、その話は後に回すとして、とにかくこの「大津留」のチャンポンや皿うどんはとても美味しかった。 次の目的地は長崎の繁華街・銅座という所にあるワインバー「田舎」である。おばさんに浜ノ町までの道筋を教えてもらって僕らは店を出た。時間は9時半頃だったと思う。雨はあいかわらずパラパラとではあるが降り続いていた。 後編に続く。 2005年8月26日 |