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御厨中学校人権集会 (コンサート当日 その1) 12月10日 月曜日 晴れのち夕方から雨 昨日の打ち合わせで、御厨中学校の集合時間を12時と決めていた。 御厨のある松浦市は、長崎県の西部に位置し、西は平戸市、東は佐賀県伊万里市に挟まれた、周囲は海と山ばかりの自然豊かな田舎町である。 車は3台。メンバーは楠林さん、沖津さん、美代ちゃんの車に分譲して行くことになっている。 楠林さんの車にリーダーと評論家とニャンコさんが、PA機材を運ぶ沖津さんの車には戸辺ちゃんが乗り、この2台は佐世保から山越えして御厨へ。美代ちゃんの車は途中でジョージと僕を拾って、つまり三川内・伊万里経由で海岸線を通って御厨へというコースで。 僕らが御厨中学校の体育館に到着したのは集合時間の10分前、11時50分頃だった。佐世保組はすでに来ていると言う。 入り口でスリッパにはき替え、中に入って行くと、舞台に向かって右の壁側にテーブルが用意してあって、その傍でリーダーと評論家が椅子に座って寛いでいた。 ここが僕らの控え場所になるらしい。リーダーと評論家の足元にはギターやマンドリンのケースが並んでいる。 「おはよう!昨日は飲み過ぎなかった?」僕は尋ねた。 昨日、佐世保組は練習の後、みんなで「地球屋」に行って食事をすると言っていたから、きっと美味しい沖縄の酒を飲みながら夜遅くまで盛り上がったことだろう。 まあ、彼らが前日に多少飲み過ぎたところで、ボーカルを取るわけでもないので、今日のコンサートに支障をきたすようなことはまずない。だからどうでもいいことなのだが、なぜか尋ねてしまう。 「いやっ、それほど飲んでないよ。」 二人はすまして答えた。そのわりには声がどことなく疲労を帯びているように聴こえるのは僕の気のせいだろうか。 ステージの上ではすでにPA機材のセッティングが始まっているようだ。PAは今回も沖津さんにお願いしてある。 コンサートは2時からだから、2時間弱でセッティングとリハを終わらせなくてはならない。それに昼食も。 PAが組みあがるまでの時間を使って、僕らはギターやマンドリンのチューニングを行い、田中先生と進行の段取りや介助に関して打ち合わせを行った。 今回は僕らの介助、つまり控えの場所からステージまでの行き来に生徒さんたちが一人ずつ付いてくれるそうだ。田中先生の仲立ちで僕らはそれぞれの割り当てられたパートナーと自己紹介と握手を交わし、簡単に介助の講習を行った。 僕のパートナーは、森内さんという3年生の元気の良い女の子だった。 「肩につかまらせて、あとは普通に歩けばよかとよ!」 戸辺ちゃんがアドバイスしてくれている。大雑把だけど、それが僕にはかえって有難い。介助の時にヘンに気を使われると、こちらにまでそれが伝染して、コミュニケーションがぎこちなくなってしまうからだ。 「そう、普通に歩いて階段の所だけ教えてもらえばよかけんね!」 そう言って、僕は森内さんと舞台の上までの往復を練習した。 そうこうしているうちに学校は給食時間となり、係りの生徒さんたちはそれぞれの教室へと戻って行った。僕らも今のうちに昼食を済ませておかなくてはいけない。 弁当の買出しは美代ちゃんとニャンコさんにお願いしてある。用意してもらっていたテーブルについて、彼女たちが買ってきてくれたスケロクやサンドイッチで本番前の腹ごしらえをした。 給食時間の間、校内のスピーカーからは「かちがらす」の歌が流れていた。コンサートの予習の目的で、このところずっとこうやって昼休みに流してくれていたのだという。僕らにとってもそれは非常に有り難いことだ。 ほとんどの人はそうだと思うが、全く知らない歌を聴くよりは、知ってる歌、耳なじみの歌があった方が、コンサートはより楽しめる。それは「かちがらす」のライブとて同じだろう。田中先生、ありがとうございました。 欲を言えば、親父ギャグについても予習しておいてもらえたらさらに良かったのですが。そしたらリーダーの冗句にもみんながついて来れたでしょうからね(笑)。 と、これはコンサート後の僕の取るに足らない感想です。 かちがらすのような5〜6人編成のバンドでの場合、2時間足らずでセッティングとリハを済ませるというのは、かなり厳しいものがある。にも関わらず、沖津さんはテキパキと作業をしてくれて、1時過ぎにはマイクを通して音が出せるようにPAを組み上げてくれた。 但し、1時45分には生徒さんたちが体育館に入ってくるそうだから、実際リハが出来る時間は30分余りしかないってことになる。 『ふるさとが好きだから』『昔僕らは海にいた』『美しい涙』と、ピアノの入る曲を中心に抜粋して練習して行った。今回のコンサートで楠林さんが弾くのは体育館備え付けのグランドピアノ。これは後で楠林さん本人に聞いたのだが、すごく弾きやすくて音も良かったそうである。 エンディングの『翼をください』では、学習部の生徒さんたちが10数名舞台に上がって一緒に歌ってくれることになっている。学習部の部長は金井田(かないだ)君という男子生徒。金井田君に段取りを説明して、みんなをまとめてもらうようお願いした。そして、簡単にその部分のリハを行った。 これで、準備万端整った。いよいよ本番。 まず最初に5分間くらい校長先生のお話があって、それから僕らはステージに上がった。1曲目は『ふるさとが好きだから』である。 曲に入る前にリーダーが挨拶をする。 「普段のスタイルでお願いします。ありのままの皆さんを見せてください。」 コンサート前の打ち合わせで田中先生にそのように言われていたこともあって、最初から親父ギャグを織り交ぜてのトークとなった。 「おいおい!いつ曲に入るんだよ〜」 僕がそう思っていると、人数確認の拍手のまま「そのまま手拍子!」と言って、いきなりイントロに入るよう促してきた。 こういうことは前もって打ち合わせておいてほしい。僕は慌ててギターを叩きカウントを取った。 「ワン ツー スリー フォー」 ところが、気持ちの準備ができてなかったこともあって、テンポを間違えてカウントしてしまったのである。 いつもより、スローの『ふるさとが好きだから』になっている。歌いながら内心「しまったあ!と思った。他のメンバーはどう思っていただろう。 曲の途中でテンポを上げる訳にもいかず、僕はそのまま歌い続けた。 そもそも僕はテンポ音痴である。昔からそれでメンバーにずいぶん迷惑をかけ、文句も言われてきた。「幸松ちゃん、今の○○は速過ぎたよ。頼むから本番ではもう少し遅くしてね。」 みたいな感じで。ただでさえそうなのだから、拍手の波の中から曲のテンポを拾い出すなんて芸当は、僕にとっては至難の技なのだ。 でも、何とか無難に歌い終えて、ホッとしたのも束の間、その直後に思わぬハプニングがもう一つ待ち受けていたのである。 「その2」に続く。 2007年12月20日 |