御厨中学校人権集会 (コンサート前日)


 今回、御厨中学校の人権集会で「かちがらす」に声をかけてくださったのは、数年前に鹿町中学校でコンサートをした時にお世話になった田中先生である。あの時の写真を「かちがらす」のcdのジャケットに使わせてもらっているので、もしかすると名前をご存知の人もいるかもしれない。
田中先生には、そういった借り、じゃなくてご縁があるので、「先生の頼みとあらば、たとえ平日、山の中・・・」
ってな訳で、僕らはその依頼を二つ返事でお受けしたのである。
今回御厨中学校に出動するメンバーは6人。リーダー、評論家、ジョージ、楠林さん、戸辺ちゃん、それと僕。
いつものことだが、メンバー全員がそろって練習できる機会は皆無に近い。それでも何とか集まれないかと言うことで、前日(日曜日)からの泊りがけでの練習を計画した。
日曜日は午前9時から午後9時までの12時間、佐世保のサンアビリティーの音楽室を借りて、丸1日かけてミッチリやろうという魂胆だ。
ところが、メンバーが参加できる時間帯は異なる。ジョージは午前中だけ、楠林さんは午後から、戸辺ちゃんは夕方以後、あとの3人はフルタイム。結局、全員がそろう時間帯はないのだが、それでもやらないよりはマシってことで、その強行軍を実施したのである。

12月9日 日曜日 晴れ


 僕らは予定どおり9時にさんアビリティーに集合した。今回、演奏するメンバーの他に美代ちゃんとニャンコさんがサポートとして加わってくれることになっている。二人とも、この日から手伝いに来てくれた。しかも、美代ちゃんは昼食のおかずを、ニャンコさんはオヤツのチーズケーキを、それぞれ手作りして持ってきてくれるという極上のサービス付きで。

 午前中の練習はジョージのパートを中心に行った。用務員がいないということで、ジョージには彼の分まで頑張ってもらわなくてはならない。コーラスはもちろんだが、ボーカルも3曲担当してもらうことになっている。
1曲は元々ジョージの持ち歌である『美しい涙』、あとの2曲は用務員が歌っていた『一粒の涙』と『Names』である。
ジョージの場合、こちらから「これを歌って」と頼めば、どんな歌でも嫌とは言わずに快く引き受けてくれる。その点非常にやりやすい。
歌詞を間違えたりしても、「はい、もう一度始めから」と僕が言えば、」ヘヘヘー」と陽気に笑って、何度でもそれに応じてくれる。
途中、オヤツタイムを挟んだりしながら午前の約3時間、ジョージとリーダーと評論家と僕の4人で、プログラムに沿いながら歌とコーラスを中心に練習した。
「OK!ジョージ、だいたいそれでいいから、本番も頑張ってね!」

 昼食は隣の畳の部屋に移動して取った。そこは、10畳くらいの広さで、縁側と思しき所に障子の襖があって、とても日当たりが良くて、まるで旅館のお座敷のような感じの部屋だった。
「アビリティーの中にもこんな場所があったんだね!知らなかったよ。」
職員のお姉さんがわざわざ僕らのために座布団まで出してくれたので、それを拝借して僕らはテーブルを囲んだ。
おかずは美代ちゃんが玉子焼きや野菜の煮物などを作ってきてくれている。あと必要なのは主食のご飯やパン、それにお茶類だ。それらは美代ちゃんとニャンコさんが仲良く近くのスーパーまで調達しに行ってくれた。
その間も僕とジョージは歌の練習に励んでいた。何せ、ジョージと打ち合わせるのはこれが最後だからね。
食事は楽しかった。やはり皆で雑談しながら食べるのは美味しい。増して、こんな寛げる空間だ。「これにビールでもあればなあ!」とまあ、そんなことは考えないことにして・・・
「いつもこんな手料理が食べられて、ジョージ、おまえはしあわせもんやねぇ。!」
「いやっ、もう長いことオイも食べさせてもらっとらんやったとばい!」
「ほんとかなあ???」
ひとしきり場を賑わせてくれた後でジョージは、「仕事があるから」と1時過ぎに美代ちゃんを伴って帰って行った。

 午後の練習場所は再び音楽室。
楠林さんがやって来たのは2時頃ではなかったろうか。それまで僕は、今月の23日に伊万里で行われる「子ども劇場・クリスマスコンサート」の時に演奏する曲を一人で練習していた。リーダーと評論家とニャンコさんは雑談に花を咲かせていた。
 楠林さんのキーボードのセッティングが完了すれば第二部の練習開始だ。
ピアノを入れてもらうように楠林さんにお願いしていたのは『ふるさとが好きだから』『一粒の涙』『昔僕らは海にいた』『小さな島の片隅から』『翼をください』の5曲である。
ところが、急遽リーダーが『美しい涙』をプログラムに入れたいと言い出したものだから、新たに1曲追加してもらうことになった。
ジョージ同様、楠林さんもお願いすれば絶対に嫌だとは言わない。それだけにこっちとしても心苦しい部分もあるのだが・・・
そんな訳で、それからの数時間は『美しい涙』を中心に練習することとなった。いくら昔から演奏している曲とは言え、かなりのブランクがある。間奏に入るタイミング、サビの繰り返しのコード進行、後奏に入るタイミング、エンディングのリズム、それらを打ち合わせながら、何度も何度もリピートして行った。
「楠林さんはね、すごく責任感の強い人だから、みんなの演奏の足を引っ張らないために自分のパートは完璧でなくちゃいけないって、そう思ってるみたい。だから、あんなに一所懸命に練習してくれてるのよね。」
そんな風なことをコンサート当日、舞台の隅で一人黙々と練習している楠林さんを見ながら戸辺ちゃんが僕に言った。
確かにそうなのだ。楠林さんだからこのくらいできて当たり前という意識が僕らの中にはあるが、本人にしてみれば相当のプレッシャーになっているに違いない。おまけに、「かちがらす」の曲には譜面なるものが全くない。だから、反復練習して頭にインプットさせるしかないのだ。
楠林さんが真剣に練習してくれている以上、僕らもそれに応えなくてはならない。本来『美しい涙』のボーカルはジョージのパートなのだが、僕は気合を入れて歌った。但し、喉をつぶさない程度にセーブしながら。
そうやって3時間くらい練習しただろうか。再びオヤツタイムとなった。

【小休止】 では、おやつタイムに入る前に、ちょこっとだけ練習の時の様子を皆さんにもお聞かせしましょう。何の曲かはここをクリックしてみてください。

 オヤツはニャンコさんが作ってきてくれたチーズケーキ。午前中食べた残りの半分を、お茶を飲みながら皆でいただいた。
次は戸辺ちゃんのパートの練習だ。
戸辺ちゃんが来るまでにはもう少し時間がある。そこで、今のうちに今夜宿泊するホテルのチェックインを済ませておこうということになり、ホテルを予約している楠林さんと評論家とニャンコさんの3人がその手続きに出かけて行った。
僕だけ佐世保には泊まらずにこの後自宅に帰ることになっている。なぜかと言うと、自宅からコンサート会場のある御厨までそう遠くはないからだ。
3人がチェックインの手続きに行っている間、僕はリーダーと、2人だけで演奏する曲『Kindness』と『傷ついた心の君へ』を練習した。
30分くらいで3人は戻ってきた。それからは遊びの時間となり、僕と楠林さんは二人で学生時代よく演奏していた懐かしい歌『Lost in love』や『夜のブルース』などをセッションして楽しんだ。
リーダーと評論家とニャンコさんはと言うと?僕はすっかり自分の世界に入り込んでいたので知らないが、おそらく例によって雑談していたのではないだろうか。
美代ちゃんが再び部屋に戻ってきたのは、こうやって皆が寛いでいる時だった。明日運んでもらうことになっている楽器を受け取りにわざわざ、出席していた会合を抜け出して来てくれたのだという。「ありがとうね、美代ちゃん!」

 戸辺ちゃんがやってきたのはその少し後、6時30分を過ぎた頃だった。さあ、いよいよ練習も第三ステージに入る。戸辺ちゃんにボーカルをお願いしているのは『翼をください』と『小さな島の片隅から』の合唱の部分である。どちらも、それほど難しいパートではないので、2〜3回通しただけでよかった。
よしっ、あとは本番だ!頑張らないと。
時間は7時30分。部屋を借りていた時間はまだ1時間余り残っているが、もういい加減疲れてもきたし、この辺りで引き上げて皆で食事にでも行こうということになり、荷物の撤収に移った。
テーブルや楽器などを片付けるのと同時進行で、会場への移動、楽器や機材の運搬、行動の日程など、明日のことを簡単に打ち合わせて、外に出たのは7時45分頃だったと思う。当然のことながら、空はもうすっかり暗くなってしまっていた。
これから皆で沖津さんが働く『地球屋』に沖縄料理を食べに行くという。
「前夜祭、楽しんできてね!」
楽しそうに打ち合わせしている彼らを残し、僕は美代ちゃんの車に乗せてもらって、8時18分のバスに乗るべく、バスセンターへと向かったのであった。

(コンサート当日)に続く。

2007年12月16日



日誌のページに戻る