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「音楽時代屋伝説LIVE vol.6 in 佐賀どんぐり村 (その1) 5月16日 日曜日 1日中〜雨 前日の午後から振り出した雨は、昨夜の天気予報どおり、朝僕が目覚めた時もまだザーザーと音をたてて降っていた。 「なんで日曜日の度にこうも続けて雨が降るんだよ!」 このところ休日の楽しみを、雨という天気にことごとく奪われてしまっていた僕は、この皮肉ともとれる最近の気象現象に対してぶつぶつ言いながら、妻が用意してくれていたステージ衣装に袖を通した。 今日は待ちに待った念願のどんぐり村伝説ライブである。 幸いにもライブの会場は、森のコンサートホールという屋内なので、先々週の盲人野球の試合のように中止になることはない。 ただ、この雨では確実にお客さんの入りは悪いだろう。 でも正直言って僕にとってそのことはあまり深刻な問題ではない。 梅さんや伝説ライブのメンバーと一緒にライブができること、それだけで満足なのだ。 「よ〜し、今日はがんばるぞ!」 自分に気合いを入れてから、僕はボサボサになってもつれている伸び放題の髪にブラシをかけた。 佐賀どんぐり村までは、リーダーは戸辺ちゃんの車で直接。楠林さんも自家用車で直接。僕とジョージと用務員と評論家は電車で佐賀駅まで行って、そこからは風ファミリーの原さんに車で送ってもらうことになっていた。 僕らが原さんの車でどんぐり村に着いたのは午前10時を少し回った頃で、その時はもう雨も小降りになってきていた。 携帯で連絡を取ってみると、すでにリーダーや楠林さんは到着していて、もう会場の中にいるという。 雨のせいか、あるいはどんぐり村が山の上にあるせいか、車を降りた瞬間、少し肌寒いと感じた。 森のコンサートホールは、どんぐり村の奥の方に建っていて、そばにはホテルなんかもあるらしい。 僕はこれまでどんぐり村に対して「ヤギや羊、ポニーなどと遊ぶための山の牧場」的なイメージを持っていたので、公園の中にコンサートホールやホテルが建っているというのは意外だった。 傘で雨から身を守りながら狭い路を通ってコンサートホールに入った時、ステージの上ではPAのセッティングが行われていた。 まだ僕ら以外の出演者はほとんど到着していないようだ。 僕らはまず、戸辺ちゃんと楠林さんと原さんに静かなホール内を案内してもらって、段差のある箇所や頭を打ちそうな箇所など、気をつけないといけない危険箇所をチェックした。それから控え室に荷物を下ろした。 控え室はとても広く、長テーブルと肘かけのついた上等の椅子がたくさん並べて置いてある。僕らは一番奥で他の人たちの迷惑にならないような箇所を選んでそこを陣取った。 「楠林さん、今のうちに練習しておきましょうか!」 「うん、やろうやろう!」 今回まだ1度も楠林さんとは合わせていなかったので、荷物を置くなり、僕らはギターをチューニングして練習に取りかかった。 控え室の隣の部屋に生のピアノが置いてあるという。僕らはそこに移動して今回ピアノを入れてもらう曲『なぜどうして』と『約束』の2曲を練習した。 1回くらい通しただろうか、『約束』を演奏している途中で「長崎組がご到着」との連絡が・・・。 急に隣の控え室が賑やかになり、僕らは練習を中断した。 「おお、みんな会いたかったよ!」 「いやあ僕たちもです!」 梅さんとは2ヶ月ぶりの再開。 これまで1度しかお会いしていないのに、ついなれなれしく接してしまう。きっとそれは梅さんの暖かいお人柄のせいだろう。いやっ、そればかりじゃない。あの時一緒にワインを飲んで歌ったり騒いだりした仲間意識みたいなものもあるのかもしれない。 とにかくすごく親しみを感じる。 「今日はよろしくお願いします」 ひとまず挨拶を交わしてから、僕らは楠林さんとの練習を再開した。 梅さんは、これから雨の中街頭でコンサートのチラシ配りをするのだそうだ。 今回一度も合わせて練習していないメンバーは他にもいた。ジョージである。 楠林さんとの打ち合わせが終わってから、僕らは再び、賑やかになった控え室に移動して、その隅っこでジョージのパートの練習をした。 ジョージには『かちがらすのテーマ』のボーカルとその他4曲のコーラスを担当してもらうことになっている。 評論家に聴いてもらいながら、僕と用務員とジョージ、3人のハーモニーをチェックしていった。 部屋のあっちこっちから、同じようにギター・歌・バイオリンなどを練習している音が聴こえてくる。 「まるでポップコンの時の楽屋みたいだね!」 用務員が言った。 そう言われればそんな感じもする。 僕らはこれまでいくつかコンテストに出場したことがあるが、アマチュアのコンテストの楽屋というのは、決まってこんな風に賑やかだった。 ステージの上では、入れ替わり立ち代り、出演バンドの音合わせが行われていた。 僕らも12時前に10分程度、PAを使っての音出しをさせてもらった。 昼食はホール内の売店から戸辺ちゃんが、おにぎり弁当やパン、お茶、缶ビール、フライドポテトなどを買い込んできてくれたので、それをみんなで食べた。 ちなみに、僕は缶ビールはひとくちも飲んでいない。飲みたくて蓋までは開けたのだが、後で歌わないといけないと思ったらやはり口をつけるわけにはいかない。 「評論家、頼むからこれも飲んでよ!」 「悪いねえ、俺だけ飲んで!」 「おまえ、今日はそのためにきたんやろうもん!」 リーダーが冷やかす。 今回評論家は一身上の都合から、演奏には参加しない。 演奏に参加しないのなら、飲み食いくらいしか他にすることはないだろうと言うのだ。 確かに・・・。大食家は評論家の代名詞みたいなものだから、リーダーが言うのもうなづける。 いよいよ本番。コンサートは予定の時間より20分遅れて、12時20分に開演した。 その2に続く。 2004年5月22日 |