『明日の神話』のレコーディング(作業編)


5月7日 日曜日 晴れ ギターとボーカル取り

 千香さんが参加できるのは21日らしいからそれまでに他のパートを取っておく必要がある。
まず、例のごとく仮歌と仮ギターを僕と用務員で一発取りして、それに合わせてリーダーと評論家と僕のギターパートを1トラックずつ取って行った。
この曲の使用コードは、セブンスを除けば基本的に4つなので、サイドギターはそれほど難しくはない。わりとスムーズに、みんな1〜2回でクリアした。
これにリードギターと裏メロを少し入れたいが、それはまだアレンジができてないので後回しにして、次はボーカルパートである。
不通ならボーカルは頭から順に取って行くのが定石だろう。しかし、この歌は3人で分担して主旋を歌うことになっているので、どこから取っても良い。
それならと、僕のパートを先に取らせてもらうことにした。3番のAメロの8小節。
先程書いたように、このキー、不通に歌うと僕には少し低い。録音では大丈夫だが、ライブとなると声が篭って前に出ない可能性がある。
だからライブを想定して、オクターブ上で歌うことにした。短いフレーズなので、2〜3回でクリアー。
続けて用務員のボーカル取り。用務員は千香さんと同じくメインボーカルなので、僕よりもはるかに歌う箇所は多い。それでも、数回で難なくクリアー。
これで主旋のほとんどは埋まった。後は千香さんのパートだけだ。
次にサビのコーラスを取る。低い方のパートを割り当てていたジョージはレコーディングに来れないというので、そのパートを僕が代役で歌う。
難解なのは、本来僕が歌うべき高い方のコーラスパートである。ジョージのパートは用務員の3度下なのでわりと音が取りやすいのだが、3度上となると逆に高すぎて途中からどこに行けばよいのかわからなくなる。
ギターを使って主旋や下と音がぶつからないようにメロディーを探し、ほとんど即興みたいな感じで歌った。
録音を終えて聴き返してみると、即興のわりにはまあまあいい感じである。
 この日のレコーディングはここまで。千香さんにも聴いてもらうために、簡単にミックスダウンして例の練習ページにアップしておいた。

5月14日 日曜日 晴れ 残りのギターパートと、エンディングのハーモニカ取り

 リードギターはお粗末ながらも僕の担当なので、まずその部分を収録。間奏と同じトラックに、千香さんのボーカルのバックで流す裏メロもちょこっとだけ入れておいた。
次に後奏、これは僕の貧弱なギターリードでは物足りないので、用務員に頼んでハーモニカで入れてもらう。うん、やはりこっちの方がエンディングとしては盛り上がる。
 これで一応千香さんのボーカルパート意外は録音したことになる。
ざっとではあるが、ミックスダウンを行い、いつものように練習ページに、Cキーのデモ版と並べてアップした。
 レコーディングの作業は午前中で終わったので、昼食を挟んで午後からは、6月4日「明日の神話もってこい10000人まつり」に向けての練習を行った。

5月21日 日曜日 晴れ 千香さんのボーカル取り

 梅さんと、エンジニアのたなかっちこと、田中さんも一緒に立ちあってくださることになっている。
いくらなんでもリーダーの自宅では都合が悪いだろうということで、今回のレコーディングは、アルカス佐世保の地下にある「第3リハーサル室」を借りて行った。
べつにチカさんだから駄洒落で地下室を選んだという訳ではないので、皆さん誤解なきように。
僕らは、朝9時過ぎにアルカスに集合した。戸辺ちゃんも一緒である。なにを隠そう、ギターやレコーディング機材を運んでもらう為に今日1日スケジュールを空けておいてもらったのだ。
「ありがとうね、戸部ちゃん!」

 話は30分ほど戻るが、まだ戸部ちゃんやリーダーと合流する前、久しぶりに山口明美さんと会った。
僕ら3人が開館前のアルカス広場で、数百人の女性に囲まれてサインをねだられていた時、というのは真っ赤な嘘で、数百人の女性の人たちのおしゃべりパワーに圧倒されて隅っこに非難していた時、「今日は何事ですか?」と声をかけてくれた急性氏が山口さんだったのだ。
「それはこっちが聞きたいですよ。いったいこの集まりは何事ですか?ジャニーズのコンサートでもあるんですか?」と逆に尋ねてしまっていた。
山口さんは笑いながら、「今日ここで佐世保市の保育園の総会があるんですよ」と教えてくれた。
「どうりで女性ばかりだと思った。僕らはここの地下のスタジオを借りて歌を録音することになっているんです。」
「そうだったんですか!頑張ってくださいね。」
山口さんはいつ会っても変わらない。朗らかで、ちょっぴりおちゃめで。
「25周年の時は結婚式で参加できませんでしたけど、また声をかけてくださいね。」
そう言って、賑やかな一団の中に消えて行ったのでした。
「ああ、なぞが解けてよかった!じゃなくて、山口さんに会えてよかった。」

 長崎組は11時過ぎ頃到着予定だという。まだ1時間余り時間がある。
じゃあ、それまで他の曲を練習しようということになり、6月4日の演奏曲をプログラムに沿って順番に練習していった。
一通り練習しただろうか、予想していたよりも早く、到着を知らせる電話が戸辺ちゃんの携帯に入った。
電話を受けてすぐに戸辺ちゃんが地上に迎えに行く。そして数分後、3人を従えて戻ってきた。

 千香さんがレコーディングの前に少し声出しをしたいという。
「ごもっとも!」
じゃあ、ライブの練習も兼ねてみんなで『明日の神話』を歌おうということになった。
間近で聴く千香さんのボーカルは素晴らしい。声量もあるし、なんて言うか、声に艶と力強さがある。発声の基礎がしっかりしているからだろう。梅さんがほれ込むのもうなずける。僕だって・・・。
ミーハーな評論家は、cdと同じ声だと言ってえらく感激していた。「おいおい、お前もか!」

 「ねえ、梅さんと戸辺ちゃんも、最後のサビを一緒に歌ってもらえませんか?」
数回練習したところで、僕はここ数日ずっと自分の中で暖めていた構想を口にした。
この歌は絶対に大勢で歌った方が盛り上がる。それに、cdに焼いて作品化するとなると、ずっと後々まで残ることになるだろう。こういう特別な記念写真には梅さんと戸辺ちゃんにも一緒に移っていてほしいのだ。
梅さんは最初少し渋っておられたが、元々歌うことは嫌いじゃない人だ。すぐに折れて「よっしゃ、分かった!」と承諾してくださった。
梅さんにしてみれば、「またしてもあいつらにそそのかされた!」と、そんな思いだったかもしれないが(笑)。

 レコーディングは千香さん、戸辺ちゃん、梅さんの順に行った。
千香さんはさすがに慣れているのか、堂々としている。戸辺ちゃんはレコーディングなんて始めての体験らしく、ちょっと戸惑い気味。梅さんは相変わらず道化者。という感じで、けっこう楽しい雰囲気で進んで行った。

 用務員も後に梅さんのBBSで書いていたが、千香さんのボーカルが入ったことで、作品のクオリティーはグンと上がった。
それと、これも田中さんから送られてきた仮ミックスを後で聴いての感想になるが、梅さんと戸辺ちゃんのコーラスも歌のサウンドをとても暖かいものにしてくれている。
そういった意味で、コーラスを二人にお願いして大正解だったと僕は思っている。

 レコーディングが終わってから、田中さんが、MTR(マルチトラックレコーダー)の中のデータを、1トラックずつ自分のノートパソコンに移しておられた。
自宅に持って帰って、ミックスダウンを含め、以後の作業を全てやってくれるというのだ。なので、僕らがタッチするのはここまでである。
「田中さん、あとよろしくお願いします。」
 参考までに書いておくが、田中さんはフラクチャーレコードという自分のスタジオを持っていて、長崎のいろんなミュージシャンのレコーディングからcd製作までを一切合切手がけておられる、言わばプロのエンジニアなのである。

 MTRからパソコンへのデータ転送に30分程度かかるというので、その間僕らはみんなで歌を歌ったり、雑談をしたりして過ごした。
『葉桜』や『すずらん通り』もギターを弾きながら一緒に歌った。ほんと楽しかった。
田中さんの作業が終わってから、みんなでアルカスの最上階にある洋風レストランに入り、少し遅めの昼食を取った。
もちろん、梅さんと評論家と僕の3人はビールも飲んだ。
昼食を終えて部屋に戻ったのは3時少し前。田中さんがもう少し作業が残っているというので、その待ち時間を利用して、『明日の神話』を何度か練習した。そして、みんなが自宅でその様子を聴けるように録音も取った。
こうやって、今回のレコーディングは無事に終わったのであった。
後は、cdが出来上がってくるのを待つだけ。田中さんの手にかかると僕らの演奏がどのように作品科されるのか、今からすごく楽しみである。
「6月4日、がんばろうね!」
そう言い合って握手を交わし、僕らは別れた。
千香さん、田中さん、梅さん、どうもお疲れ様でした。そして、楽しい時間をありがとうございました。
2006年5月26日

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