『明日の神話』のレコーディング(準備編)


 「梅さんの方から、『明日の神話』という6月4日のイベントのキャンペーンソングをかちがらすでレコーディングしてほしいという話が来てるんだけど、どうする?」
リーダーから電話があったのは、4月2日にオハナカフェでライブをした、その数日後のことだった。
「受けていいよ!でも、そうなると自分たちの練習がほとんどできなくなるけど、それでもよければ・・・」
と僕は応えた。
「それともう一つ、『平和と平等をあきらめない』の音源もほしいらしいんだよね。」
「ええっ、ということはもしかして、それもレコーディングしないといけないってこと?」
僕はだんだん本気で不安になってきた。
その時点で、5月3日と6月4日のイベント出演が決まっていて、4月23日と30日の日曜日を5月3日の練習に、6月7日と14日と21日の日曜日を6月4日の練習に割り当てていたのだ。
しかしレコーディングが入ってくるとなると、それらの予定を大幅に変更しなくてはならない。まずレコーディングを優先して、その合間を縫って練習することになるだろう。
かと言って、それ以外の日曜日は、メンバーそれぞれ別の用事が入っていて、どうしてもキャンセルできない。
「大丈夫さ!5月3日も、6月4日も、あまり練習しなくてもいいように、いつもやっている曲を選曲するから。」
そういう訳で、またしても僕らはレコーディングに突入することになったのだった。

 数週間後、リーダーから『明日の神話』の原曲が入っているCd-Rが郵便で送られてきた。
梅さんからの注文で、レコーディングの際、千香さんをボーカルで加えてほしいという。
電話でその話を聞いた時、
「ええっ、千香さんってあの葉桜の千香さん?」
思わず僕は聞き返していた。
一緒に歌えるなんて、僕らにしてみれば願ってもない光栄の至り。でも、当の千香さんがどう思うか・・・。
「それから、10000人まつりの最後に、俺たちがこの歌を演奏することになっているらしいんだよね。」
それってものすごいプレッシャーだね!」
何だか話がすごいことになっているぞ〜。

 僕は早速、原曲を聴いてギターコードと歌をコピーした。
そして、自分が一番歌いやすいEのキーでデモ版を作成した。
とりあえずこれを、メンバーと千香さんに聴いてもらう必要がある。
かちがらすの練習でいつもそうしているように、ホームページに『明日の神話』の練習ページを開設して、弾き語りのデモ版をそこにアップした。
数日してリーダーからメールが来た。
千香さんに練習ページのURLを教えてデモ版を聴いてもらったところ、Eのキーではちょっと高いので、少し落としてほしいとおっしゃっているとのこと。
う〜ん、そうだろうなあ!このキーは男のキーだから。
じゃあ!ということで、Eを1音落として、Dのキーで歌い直し、新たにデモ版を作成した。
これでどうだろう?
しばらくして、直接千香さんからメールをもらった。
もう少し下げてほしいという。
そこで僕は気づいた。これまで僕のキーでばかり歌ってしまっていたことに。
かちがらすと言っても、なにも僕がリードボーカルを取る必要はない。
もしキーが合わなければ用務員に歌ってもらえばいいのだ。僕と用務員の二人がかりなら、おそらくどんなキーにでもある程度は対応できるだろう。
キーの件はもう一度振り出しに戻して、僕は梅トリアルバムの3曲目に入っている『葉桜』のメロディーの音階をギターで辿ってみた。
一番高い音と一番低い音をチェックして、その音域に最も近いキーを捜そうと考えたのだ。そうやって僕が割り出したのはAキーだった。
Aキーではやはり僕には低すぎて全く歌えない。急遽用務員に電話をかけて、「Aのキーでデモ版を作成してくれるよう頼んだ。
その結果、『明日の神話』の練習ページにはEキーとDキーとAキー、3パターンのデモ歌がアップされることになった。
 ところが、千香さんから届いたメールには、「Aでもいいですが、もし可能なら、Cのキーでお願いしたい」と、とても申し訳なさそうに書かれていた。
それを読んで僕はガクンと力が抜けてしまった。
な〜んだ、最初から僕も「どのキーがいいですか?」と、そういう尋ね方をすればよかったのだ。千香さんは音楽に関して素人じゃないのだから。
「もちろん、OKですよ。」僕は すぐに返事を書いた。
 これでキーは決まった。次は誰がどの部分を歌うか、ボーカルやコーラスのパート決めである。
かちがらすの話し合いで概ね決めてはいたが、再度検討してみる。

この歌はAメロが1番と2番に2回ずつ、3番に1回、計5回出てくる。
そのAメロを千香さんとかちがらすで交互に歌うのが良いだろうと、これは梅さんとも意見が一致しているのでそのようにする。
cのキーのAメロは僕にとっては低過ぎる。なので、僕はコーラスに回り、かちがらす側の主旋は用務員に担当してもらう。
でもやはり、5回のうちの1回くらいは僕も歌いたい。そこで、アレンジャーの特権というやつをちょいと悪用させてもらって、3番のAメロだけは僕がボーカルを取ることにする。
だんだん煮詰まってきた。後はサビの部分だ。
サビはできるだけ盛り上がりたいので、みんなで一斉に歌うのが理想なのだが、ハモりがないのはちょっと寂しい。それなら、千香さんと用務員に主旋を取ってもらって、僕とジョージがハモろう。
よし、これでOK!僕はその振り分けを詳しく書いて練習ページに貼り出した。

 いよいよレコーディング開始だ。もう一方の『平和と平等をあきらめない』は4月のうちに仕上げていたので、5月はこの曲1本に専念できる。
「よおし、張り切ってがんばるぞ〜」

『明日の神話』のレコーディング(作業編)に続く
2006年5月26日

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