バレンタインデーの思い出


2月14日


 これは僕がまだ学生だった頃の話です。
当時、一緒にわたぼうしコンサートの活動をしていた女子高生のKこ(この場合のKはイニシャル)からある相談を受けました。
自分には今すごく好きな人がいて、今度のバレンタインデーにチョコレートと「自作の詩」を送って気持ちを伝えたいと思う。でも、ただ「詩」を送るだけじゃつまらないから、それに曲を付けてほしいと言うのです。
現在の僕なら「なんで人の恋の手伝いをしなくちゃいけないんだよ!バカらしい!」と無下に断るところでしょうが、その当時の僕は今よりもずっと純情でしたから、「よし、わかった!Kこのために人肌脱ごう!」とその頼みを二つ返事で引き受けたのです。
ところが、Kこの持ってきた詩を見てビックリ。なんと三つもあるではありませんか。
これじゃあ、いくら僕でも期日までに間に合わせられそうにない。そこで、当時一緒に活動をしていた仲間で暇そうにしている用務員と和美に声をかけて、彼らにも作曲を手伝ってもらうことにしたのです。
そうやって、バレンタインデーまでに、なんとか3曲を仕上げました。
 しかしいざ録音を済ませてみると、当然のように、どうしようもなく空しさが襲ってきたのです。
「自分たちがチョコレートをもらえるわけでもないのにさ、俺たちっていったい・・・。」
そこで、僕らはある企みを思いつきました。チョコレートのおねだりソングなるものを作って、Kこに渡すテープの最後にさりげなく入れておくという仕掛けです。そうすればもしかしたら俺たちにもチョコレートが・・・エッヘッヘ!ってな訳で。今思えばなんとも恥ずかしい!まあ若気の至りってやつですよ。
早速僕らは作りました。ほとんど即興で。
歌のタイトルは「あつかましい僕たちを許してください」。

 果たしてKこの恋は無事に実ったのか、僕はその後の成り行きを知りません。
ただ、彼女からのチョコレートだけは、2月14日のバレンタインデーの日にしっかり僕らの元に届きました。

 あれから20数年、その時作った歌の歌詞は、もう忘れてしまいましたが、曲だけは僕の記憶の中にしっかり残っていました。そこで、このまま葬ってしまうのはもったいないと思い、数年前に用務員に同じタイトルで歌詞を書いてもらって、評論家バージョンとして復活させた訳です。
それが、今度の「かちがらすVOL.3」に入っている『続・あつかましい僕たちを許してください』です。

【注】
 これは2月14日に掲示板に投稿した原稿を、後で若干加筆修正したものです。したがって、文体も掲示板風になっています。


2004年3月28日


 
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