かちがらす結成31周年コンサートを振り返って(その3)


●山口さん
 山口さんと一緒にライブをするのは理屈抜きで楽しい。雰囲気は明るいし、お茶目だし、保育師という職業柄か、しゃべりもキーボードも上手いし。
そのくせ上がり症で、「大丈夫、僕が付いているから」って、思わず守ってあげたくなる、そんな可愛い面もある。僕よりも若干お姉さんなんだけれど。
演奏は、本番前はドキドキしてるなんて言いながらも、いったん舞台に上がると、僕なんかよりもずっと肝が据わっているように感じる。
今回の山口さんのトークタイトルは「川内さんとの出会いについて」だった。僕も話を聞きながら、その当時、20年前、山口さんと出会った頃のことを思い出していた。
初めて佐世保の県北会館でライブをした時のこととか、その後、『美しい涙』をライブで歌わせて、後で恨まれたこととか、まだアパートだった川内鍼灸院の一室でお疲れ様と言って入れてもらったホットコーヒーの美味しかった記憶とか。
人の縁ってほんと不思議だなってしみじみ思う。山口さん、また一緒にやりましょうね。

●横田
 コンサート当日の朝、有田駅で楠林さんの車に乗り込んだ時僕は、助手席に座っていつもより口数が少なくなっている横田を見て、「ああ、もうから緊張してるな!」と思った。
無理もないだろう。2時間のコンサート、彼は最初から最後まで出っぱなしなのだ。それに自分のトークコーナーもある。
僕が感じていたのと同じくらいのプレッシャーを彼も感じていたのに違いない。
いやあ、それにしても、緊張感を皆で分かち合うというのはなかなかよいものだ。横田が吸い取ってくれるお陰で僕の緊張感は少しずつ軽くなっていく。
前置きはこのくらいにして、今回横田はよく練習してくれていたと思う。
9月の練習の後だったか、僕はメンバー全員に当てて、ちょっと辛口の指摘をしたことがあった。
中でも横田には、「ギターのリズムが全くそろってないので、自分の演奏をヘッドホンでじっくりと聴いてみるように」と、ちょっと厳しく忠告しておいた。
実際のところ、リズムがずれているのは、もしかすると僕の方なのかもしれないが、そこはボーカルの特権で、「皆の方が僕のギターと歌に合わせてくれないと・・・」となるのだ。
それが功を奏したのか、10月16日に練習した時の録音を聴いてみると、あれほどずれていたリズムがきちんと修正されていた。
「やれば出来るじゃん!」って、これは横田になのか、はたまた自分になのか、僕は思わずつぶやいていた。
それともう一つ。彼はMCもなかなか面白かった。
自分はめったにマイクを持たないってことを、ギターのピックよりも重いものを持ったことがないという例えを使って説明した後、
「私のしゃべりを聞けただけでも皆さん、ここに来た甲斐がありましたよ。」
と、しかも訥訥としゃべるものだから、会場の常連客の間から爆笑が起こっていた。
この横田のトークコーナーから武原のシングアウトまでの15分間。もしかすると、二部のこの時間帯はコンサートの中で最も和んでいた時間帯だったかもしれない。

このようにして、今回のコンサートはメンバー全員で作り上げた、自分たちにとってもすごく意味のあるコンサートだったと思う。
一つ残念だったのは、円城寺が体調不良で参加できなかったことだ。コンサート後、「円城寺さんの姿がステージになかったので寂しかった」という感想を何人からか聞いた。
体調を戻して、早くかちがらすの活動に復帰してほしいと僕も願う。

【おわりに】

「功松ちゃん、かちがらすの歴史に残るコンサートになったみたいね。みんなからの反響が半端なくすごいよ。」
戸辺ちゃんの興奮が、受話器を通してでもこちらに伝わってくる。
「ありがとう戸辺ちゃん。あの時戸辺ちゃんにあんな風に言ってもらわんかったら、僕自身これほど頑張れなかったかもしれんね。」
と言って、僕がこのレポの冒頭に書いたような話しをすると、
電話の向こうで笑いながら「ええっ、私そんなこと言ったっけ?」と、もうすっかりあの時のことを忘れてしまっている風だ。
戸辺ちゃんは万事この調子なので、僕はもう慣れっこになってしまっているが、それにしても覚えていないとは・・・・
「じゃあ私が発破を掛けたから幸松ちゃんはやる気を起こしたって訳ね」
いかにも愉快そうに笑った後、急に真面目な口調になってしみじみと、
「でもよかったね、いいコンサートができて!」
と、今度は胸がジーンと熱くなるようなことを言って僕のハートを揺さぶってくる。
「今回はもう完全燃焼しましたからね」
そう僕が疲れたように言うと、突然お姉さんモードの厳しい口調になって、
「ダメよ!燃え尽きたら。少しは余力ば残しとかんば。今度は田舎に行くけんね田舎に」
と、もう戸辺ちゃんの気持ちは未来にブッ飛んでしまっている。
な、なんなんだ、この変わり身の速さとパワーは。
でも、僕はこれまで、何度この」戸辺ちゃんの前向きさと元気に励まされたかしれない。
「わかりました。梅さんも誘ってくださっている訳だし、みんなでワインバー田舎に繰り出して行きましょう」
と言う転回になった。

それはともかく、この会話からも想像してもらえるとおり、今回のコンサートは、僕らの心にとても心地良い余韻を残してくれた。
コンサートが成功したかどうかは、お客さんがたくさん入ったからとか、赤字にならなかったからとか、そんな物理的な物差しで計れるようなものではない。と、僕は考えている。
第一は、来てくれたお客さんたちが喜んでくれたかどうか。また、楽しんでくれたかどうか。感動してもらえれば尚良いのだが、自分たちの力量にそこまで求めるのはちょっと酷かもしれない。
そして第二は、自分たちが満足できるステージができたかどうか、である。
そういう意味でどちらの条件も充分に満たしているので、僕はあえて今回のコンサートは成功だったと言いたい。
ただ、僕らが一つ忘れていけないのは、今回のコンサートも結局は川内の力を借りてしまったということだ。
テーマにしても、曲にしても、バックで流した映像にしても、全て川内が残してくれたものだった。
それらを僕らが拝借して、コンサートをさせてもらったにすぎない。
言い返れば、川内は居なくなってからでも、仲間たちを動かし、聴きに来てくれた100人近い人たちを涙させ、感動させたということになる。
未だ尚これほどの影響力を持つ彼は、やはり皆にとって大きな存在だったんだなと改めて気づく。
かちがらすがステージで歌っていく限り、彼はいつでもその場に居て、これからもその存在感をさりげなく僕らに伝えてくることだろう。
だから僕は、ステージの上に架空の席を設けて、そこを彼の為に空けておきたいと思う。そう、いつでも彼がJ-200やフラットマンドリンを抱えてライブに参加できるように。

【謝辞】

チラシを作ってくれた赤司さん、PAを担当してくれた沖津さん、横断幕を作ってくださった、美代ちゃんが元勤めていた保育園の主任さんのご主人、プロジェクターを貸してくださった森永さんのグループ、まだまだたくさんの方々に今回もお世話になりました。
皆さん本当にありがとうございました。メンバー・スタッフ一同、心よりお礼申し上げます。

【参考資料】


●コンサート当日の日程
 9時 西地区公民館集合
 11時 ステージでのリハ開始
 13時30分 開場
 14時 開演
 16時30分終演
 17時 スタッフ解散

●演奏した曲目
一部
 1 レジスタンス
 朗読 「拝啓 川内洋司様」
 2 緑色の風
 [MC] 「初めのあいさつ」
 3 傷ついた心の君へ
 [MC] 「佐世保の海の思い出」
 4 昔僕らは海にいた
 [MC] 「和美のコンサートすっぽかし事件の話し」
 5 明日天気になれ
 [MC] 「川内さんとの出会いについて」
 6 美しい涙
 [MC] 「なぜどうしてについての石清水、回想シーンから観念論に終わらぬ彼の行動力について」
 〜「次の曲紹介」
 7 なぜどうして

〈友情出演〉 PREMIUM ILOHAS
 一瞬の花(英語バージョン)
 平和と平等をあきらめない
〈セッションタイム〉 PREMIUM ILOHAS & かちがらす
 ふるさとが好きだから

二部
 [MC] 「二部開演のあいさつと簡単な曲紹介」
 1 君に会えてよかった
 [MC] 「先進国とは?について元リーダーが語ってくれたとても印象深い話」
 2 ピクニックに行こう
 [MC] 「シングアウトとは?〜実際にみんなで体験してみましょう」
 3 Sing out
 [MC] 「風景画のアレンジと、それをならしめたのであろうシンクロ二シティについて」
 4 風景画
 5 小さな島の片隅から
 [MC] 「川内さんのジョークについて」
 6 Good by see you again
 [MC] 「閉めのあいさつ」
 7 伝えたい思いは私たちの歌の中に

アンコール ?
 1 約束
 2 風景画

2011年10月29日



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