2007年 新年会(その1)


「どがんや、元気しとるや?」
久しぶりにリーダーから電話がかかってきたのは、1月9日の火曜日だった。
僕が、「このとおり元気だよ」と答えると、リーダーは、
「そろそろ集まろうか!」
と、新年会の話を持ちかけてきた。
「うん、よかねえ!久しぶりにみんなとも会いたかし・・・」
時間や場所は、参加者を見てから決めようということになって、僕は早速メンバーや、その日参加してくれそうな人たちにメールを書いた。


Subject: かちがらす通信(新年会のお誘い)
 遅くなってしまいましたが、皆さん、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
早速ですが、今度の日曜日(14日)、たぶん午後になると思いますが、新年会を兼ねて皆で会食をしたいと考えています。
まだ場所は未定です。皆さんのご都合はいかがでしょうか?
出欠を取ってから、場所を決めたいと思います。
なので、木曜日くらいまでに返事をお願いします。
かちがらすメンバー公認風紀係 幸松成実



 期限を木曜日と定めていたのに、全員からの返事がそろったのは金曜日だった。
その夜僕は、時間と場所を打ち合わせるために戸辺ちゃんに電話をかけた。
5ヵ月ぶりに聴く戸辺ちゃんの元気な声。
「ねえ、時間と場所はもう決まった?」
僕は、
「場所はまだですけど、時間は決まりましたよ」
と答えた。
「何時から?」
そう尋ねる戸辺ちゃんに、僕はふといじわるしてみたくなり、次のように言った。
「3時から6時までです。」
戸辺ちゃんは、その日仕事になっていて、6時以後にならないと参加できないという連絡をもらっていたのだ。
「ええっ?」
明らかに声のトーンが1オクターブは下がった。僕は戸辺ちゃんのこの落差のあるリアクションがけっこう好きなのだ。
とは言っても、新年早々戸辺ちゃんをからかうのはやはり気が引ける。
一瞬の沈黙の後、次の言葉を待たずに、僕はすぐに訂正した。
「冗談です、ごめんなさい。ほんとは6時からにしたいんですけど、みんな帰らないといけないので遅くならないように5時からということでどうでしょう?」
「もう、ほんとに・・・ いいよ!で、場所はどこにする?」
「久しぶりにテンシンポーズは?」
ということで、時間は5時から、場所はテンシンポーズでと決まった。
店の予約は、「私がしとってあげるよ!」と戸辺ちゃんが言ってくれたので、素直にお願いして僕は電話を切った。

1月14日 日曜日 晴れ

 新年会は夕方の5時からになっていたが、メンバーはいつもの時間、つまり9時過ぎにリーダー宅に集まった。
いろいろと話し合いたいこともあったし、諸々の雑用もあったからだ。
諸々の雑用とは、用務員に頼んで録画してもらったDVDの受け渡し、リーダーのパソコンのアップデートの作業、置かせてもらっているギターのメンテナンス、などなど。
こうやって書き出してみるとたいした用事ではないのだが、僕らにしてみればけっこう重要なことで、定期的に集まるための口実としては十分な理由なのである。

ではここで、リーダーの家にいる数時間、メンバーがそれぞれどのように過ごしているかについて書いてみたい。

 まずリーダー。ほとんど治療室の中に居て、他のメンバーからのリクエストに応えて音楽をかけたり、ほしいと言うものがあればダビングしてやったり、上にコーヒーを入れにいったりと、喫茶店のマスター的な役回りをしている。
 用務員。もっぱらパソコンの前に座って、アップデート作業をしたり、リーダーから頼まれてアマゾンでcdや書籍の検索をしたり、リーダーが運んできたコーヒーをカップに注いだりと、文字通り用務員の業務に勤めている。
 評論家。評論家は作業というよりも、口を動かしている方が多く、昼ごはんを食べてない時は、ひたすらメンバーの誰かと話をしている。彼は読書が好きなので、リーダーからいろんな本を紹介してもらっているようだ。
 幸松。僕はほとんどの時間、待合室のソファーに座ってギターを弾いたり歌ったりしている。昼食も雑談も待合室のテーブルを囲んで行うので、僕の場合はめったにこの指定席を離れることはない。

 この日の昼食は、僕らが朝来る時に途中のコンビニで買ってきたカップめんだった。
昨年まで通っていた大宮ストアーが閉店した影響はやはり大きい。
「ここに来る前に、昼食べるものをどこかで買ってきてね」
と、前もってリーダーから言われていたのだ。
評論家は、大盛りのカップうどんと、寿司を3パックも食べていた。相変わらずの食欲である。

 最近はみんな年を取ってきたせいか、昼食の時の話題は昔の、それも学生時代の頃の思い出話が多い。
当時どういういたずらをしていたとか、あの先生の授業はどうだったとか・・・
この日もそんな他愛の無い話を2時間くらいしていたと思う。

 リーダー宅を出たのは4時30分頃だった。この時期にしては暖かく、太陽の日差しがとても心地よく感じられた。新年会の会場まではバスで移動。
僕らが京町で下車すると、バス停の所で克ちゃんと田頭さんが待ってくれていた。 「久しぶりだね、元気してた?」 簡単に再会の挨拶を交わしてから、みんなで賑やかな繁華街を歩いて、テンシンポーズへと移動した。

その2に続く。


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